森でのはなし
何年か前に行った、ボランティア活動の記録です。
間伐作業の体験と、森づくりのおはなしを聞いてきました。
森づくり体験in高尾山
今回わたしが参加した体験は、はじめての人も大歓迎!森づくり体験!
みたいな感じで、そういった経験が無い人でも気軽に参加出来るイベントでした。
パウロの森くらぶという団体さんが所有している森林で、長年にわたり管理されている人口林です。
子供もOKだったので、親子連れも半数くらい、もっとかな?家族で参加していたり、
他には林業に興味のある方や、ボランティア活動に熱心な方、森林が好きな方、海外からの留学生などたくさんの様々なメンバーがいましたよ(*^-^*)
「間伐ってなに??」
わたしは間伐ということすら知らなかったのですが、始めに係の方が森の仕組みや手入れの仕方などを教えてくれました。
間伐とは、人口林では、森林の健康状態を保つために絶対必要な作業だそうです。
密集している木々の何本かを切り倒すこと。
木が密集していると枝や葉っぱで太陽の光が遮られてしまいますよね。
そうなると地面に光や雨がじゅうぶんに届かず、土壌の健康が悪くなってしまいます。
すると土が徐々に弱り木や他の植物の根も弱くなり、
ちょっとした豪雨や風など、嵐がきたときには根こそぎやられてしまいます。
要するに土砂崩れや山崩れの原因になるんですね。
わたしたちの暮らしのためにつくられた森林が、
わたしたちの暮らしを破壊するものになってしまいます。
それを防ぐために、しっかりした土壌をつくるために、
定期的に間伐を行って光を地面に届け、
草木に光合成をしてもらい、丈夫な栄養たっぷりの大地をつくってもらう。
人の手でつくられた森はずっと手入れが必要なんですね。
じゃあ自然の森はどうなんだろ?やっぱ災害に巻き込まれる可能性はありそうですね?山間部の集落とか。
でもわたし的には手つかずの森がたくさん残っていてほしいと思います。人が入らず、自然だけの暮らしがそこでは成り立っているわけですから、敢えてそこを切り崩して人間の世界を作らなくても。
田舎の暮らしに憧れるけど、なんなら全員都市に暮らした方が自然は守られるんじゃないかとか。
昔ながらの山里で暮らす田舎の人たちも、丁寧な自然な暮らしに見えるけど、実際そこを切り崩して破壊していったわけですよね。※超極論
人口でつくられた森林というのは、資材目的に作られた森林です。
特に杉の木が多いと思いますが、住宅や家具や燃料などわたしたちの生活の一部になっている木が大量に必要なため、自然の木だけではとうてい足りないためにつくられたものです。
資材目的の他に、災害を防ぐのに大きな役目を担っています。
手入れが行き届いた人口林は、土壌がしっかりしているためにちょっとやそっとの自然災害に負けません。
山崩れを防いでくれますし、ダムや貯水槽などの大規模な装置よりはるかに多くの水を溜め込むことができます。
ちなみに、
じゃあ最初から感覚をあけて植えりゃいいやん
って思いますが、そうすると真っすぐな木が育たないんですって。
真っすぐでない木は売れません。売れない人口林はお金をかけて管理できませんね。
その日は2チームに分かれて、各チーム1本ずつ、木を切り倒しました。(直径50センチくらいの杉の木)
参加者ひとりひとりがのこぎりで順番に切っていきます。凄い難しい。
切り倒したあとは、皮むきをします。
当時3月という時期もあったので皮むきをしたのですが、多分夏とかはやらないのかな?
皮むきは木の性質上、やる季節があるみたいです。
すみません、その辺は忘れました。
綺麗にペロンっとめくれるので気持ち良いです。
それから3等分くらいにして運べる大きさに切っていきます。
この一連の流れで終了ですが、このあとさらに小さく切り分けて椅子を作ったりテーブルにしたり、薪にしたりなど、切り倒した木は全て使いました。
森ができるまでにかなりの時間がかかるのと、
ただ木を植えるだけでは森は出来ないのと、
森があることで人や動物は生きていけるのと、
自然の恵みを肌で感じることが出来る素晴らしい体験でした。
子供たちにもとても勉強になる体験だったと思います。
自分達で切った木を大事に持って帰るんだといって一生懸命加工していました。
季節によってはキノコ栽培をしたり、カブトムシの生育などの体験もあるようです。
昼食もそこでみんなで食べました。
大きなお鍋で豚汁を出してくださり、キャンプな感じも体験できます。
水を使うのも、例えば自然由来の洗剤をつかったり、無駄に水を使わないようにするなど、普段環境によくないものを使っていないか改めて考え直すきっかけにもなりました。
綺麗な水と空気と、強く栄養のある大地を作れるのは森や動物たちで、
それを壊さないように守っていけるのは人間にしかできないと思います。
まさに共存。
わたしたちが切った木は、50年ほど生きていたみたいです。
立派な木でした。
木が倒れるのを見ながら何故か「生きとしい~生けえ~るすぅべぇての~もの~へ~」が脳内で再生されました。なんか雰囲気が直太朗や・・・・。
そういえば、その森は杉の木の森だったのですが、花粉やアレルギーなどの症状がまったく出ませんでした。
アレルギーというのは都会になればなるほど多くなって、健康な綺麗な自然の中ではそういったものは出ないらしいですね。
もちろん季節もありますが、空気汚染と植物が混ざって化学反応を起こして有害なアレルギー物質になってしまうようです。
同じ地球に住んでいるものどうし、
自然のものでもあるし人間のものでもあるこの世界は、
共存していくわたしたちに出来ることとしてはいけないこととがたくさんあるんだと感じました。
そもそもの話、先ほども書きましたが人口林というのはわたしたちの生活のためにつくられたもの。
回りを見ると木でつくられたものはたくさんあります。
しかし今は外国から輸入される木材が超格安なため、業者さんはもちろんそちらを買います。
それに負けじと価格競争が始まり、日本の木材も超格安で取引されます。
何十年も育てた立派な木も、市場ではチャリンって感じの値段にしかならないそうです。
そうなると困るのは林業の方々、山の持ち主です。
今回の間伐作業を体験して身に沁みましたが、1本の木を切り倒すのに1人では出来ません。
間伐作業だけで森林の規模によっては何万本という作業が必要で、
その大前提の段階で植林の作業もあります。
規模によっては何ヘクタールという広大な土地に何万本という苗木を植えて管理します。
木が育ってきたら真っすぐ育つように余計な枝を切り落とす定期的な作業が必要です。
真っすぐでないと商品として売れないからです。
5年や10年どころではなく何十年と管理し、
ようやく立派に成長して市場に出せてもチャリンっにしかならないのでは、赤字どころではありません。
1日何本の処理が出来て、何人の人件費や機材の材料費などがかかるのか・・・
それがその日のうちには一銭にもならないし
なんなら間伐で切り倒した木は価値がないので売れません。
要するにゴミです。
大量の木のゴミが出てそれを処理するためにまた大量の労働力やお金が必要です。
こういった事情もあり、もちろんもっとたくさん様々な事情があると思いますが、
荒れ放題の山が増え続けています。
わたしたちの生活のためにある森林が、山崩れが多発してわたしたちの生活を壊しています。
森を守るためにわたしたちに出来ること
ボランティアに参加すること
自然に目を向けること、理解すること
林業に就職すること、国産材を使うこと
なによりも間伐材を使うこと、買うこと。※売ってるのかな?
間伐材はゴミではありません。
建築用などに向かないというだけで、立派な資材です。
健康な森づくりのために間伐された、他と何も変わらない木です。
若葉材とかに名前変えたらどうでしょうかね?
可愛くて印象も良いのでは?
節目の模様が変だから、真っすぐじゃないから、色が気に入らないから、
住宅を建てるには慎重に選ばないといけないのはしょうがないですが、
装飾品や材料に使うものなどは、ゴミになる木を優先的に使うべきだと思います。
蓮舫さんが言ってましたよね、1番じゃなくていいって。※違
そういうところもそろそろ見直していくべきなのかと。
1番綺麗じゃなくていい。曲がってたって、傷ついてたっていい。
どうしてそれが「良い」のか、考えて選ばないとですよね。
中村道雄さんも言っていますが、
インタビュー記事⇩⇩
何か入れ物ひとつにしても、すぐに洗えて軽くて便利なプラスチックが好まれるのは分かりますが、
便利になっていく一方で、不都合なことが増えていく。
綺麗なところだけを見ていたいけど、圧力を受けてダイヤモンドが輝くように、
きっと私たちの瞳も色々なものを見て、光り輝いていくんだと思います。
わたしは植物恐怖症という謎な精神異常者ですが、今回、一歩踏み出してこのボランティアに参加してよかったと、心から感じました。
恐怖は治らないけれど、理解することによって得られることがあると思います。